枯れる音楽

音楽では、特にバイオリン関係では「枯れた音」という表現を使います。

これは褒め言葉です。

バイオリンには4本の弦が張られていて、正面から見て左の弦へ行くほど低い音が出ます。

この低い音が出る弦を使って高い音を出すと出る音、これを一般的に「枯れた音」と言います。

枯れた音にはもうひとつの意味もあるのです。

それは優れた演奏者が齢を重ねて演奏が熟練したとき、その演奏も「枯れた音」というのです。

CDを出すほどの演奏者だと、どの録音を残すかで迷うことがあると聞きました。

つまり、若い頃のはつらつとした演奏も素晴らしいわけですが、年を取って円熟した演奏も捨てがたいのです。

ところが1つの楽曲は1つしかありませんから(たとえばコンチェルト1番を異なる曲として演奏することはできませんね)、録音としてどの年代の自分を残すかということが結構悩んだそうです。

枯れた音というのは、単に低い弦で弾きまくればいいというわけでもなくて、その奏者のセンスが問われます。

わたしのようなアマチュアがやたら低弦を使いまくってもダメなんです。

事実、低い弦で高い音を出しつつ演奏のクオリティを維持するのは難しいんです。

ちょっと意識して「枯れた音」を聞いてみるといいかもしれませんね。