過去と語る

本の一番いいところは、やはり過去の人物や考えとふれることができることではないでしょうか。

わたしが特に好きなのは昭和の初めごろに生まれた作家たちです。

彼らは例外なく戦争を経験し、そして平成の初めごろという文化の爛熟期までを生きています。

つまり、悲惨な時代から本当に人びとがカネまみれになるまでを通してみてきているわけです。

それに、平成まで近づけば、たとえば明治時代の作家のような現代との乖離も少ないと感じます。

こういう作家たちが書いたエッセイは非常に読み応えがあります。

書かれていることは現代にそのままナイフのように突き刺さる生きた言葉です。

こういう文を読めるところに本の価値があると思います。