「おーい、君が見つかってよかったよ。」
そう言って彼は手を振った。
上の文の中に、アナログな部分とデジタルな部分があります。それはどこか、説明できますか?
「デジタル」というとここ十数年で普及したパソコンなどを想像しがちですが、実はそうではないのです。
デジタルとは例えば数字のように0なのか1なのかによってまったく意味が異なってしまうことを指します。
つまり、上の例の中でデジタルなのは「ことば」全部であり、アナログなのは「手を振った」の部分です。
言葉はデジタルだ、そう言われると戸惑うかもしれませんが、紛れもないデジタルです。
例えば「君が見つかってよかったよ」を変えてみましょう。こんなのはどうでしょう。「君」を「りんご」に変えます。
「リンゴが見つかってよかったよ」
もとの会話とはまったく異なる内容になってしまいました。
その他の部分を変えてみても同じようなことが起こります。
では、アナログな部分とは?
実は、「大きく手を振った」のところです。
アナログとは、0か1ではなく境目が曖昧で変化による絶対的な影響を受けないものをいいます。
つまり、手を振っている人が2秒間に2往復する早さで手を振っても、小刻みに少し手を振っても、手を振って友情を示しているのには替わりありません。
そもそも手を振る速さを正確には測れないでしょうし、測る必要をわたしたちは感じません。
手を振る大きさが5センチ違っても、毎回ちょっとずつ異なっても意味は変わらないわけです。
変化しても、それによってまったく異なったものにはならない。これがアナログです。
手を全く同じ速さで振り続けるのも人には困難でしょう。
さて、現代の割と年配の方々は、デジタルというものを誤解している方がいらっしゃるようです。
パソコンなどは確かに電子的技術の結晶です。しかしパソコンなどを「デジタルだから」というひと言で片付けるのは間違っています。
「デジタル」という言葉はある意味、定義に過ぎません。
デジタルなんちゃらを毛嫌いするというのは言語の正確な意味から見ると正しくないのです。
もう一度考えてみてください。IT技術がきらいなのか、デジタルがきらいなのか。